お辞儀
向田邦子のエッセイに『お辞儀』という話がある。
向田さんの自宅には留守電が据えてあり、そこに録音された様々な声を彼女の独特の感性で紡いでゆくのである。
脚本家だけあって、顛末が小気味よい。
その登場人物に黒柳徹子さんが出てくる。とても面白い話だ。
ある初老らしき婦人が間違い電話をかけてきて、メッセージを録音していた。
礼儀正しい人だと推察され、切り際の受話器の置き方が丁寧だと作者は褒める。
そしてお辞儀のきれいな人だと推測し、お辞儀本題になだれ込んでゆくのである。
先日ここでご紹介したgoo の『つれづれ』のオーナーさんがコメントに返信くださっていた。
私は向田邦子のこの話を思い出した。
こういう方が今日本から居なくなっている。