大正モダンガール
私の母親は1914年の産である。
大正3年。この時代はモダンガールという女性が登場する。
母は裕福な家庭に生まれたおかげで幼馴染が唐草の風呂敷を背負って学校に行っていたのに、革靴を履き、セーラー服だった。
そして青春時代にはハイヒールを履いて心斎橋を闊歩していたという。
お嬢なのであった。
そのお嬢は結婚後大変な苦労を強いられる。
が、極貧の中でも『腐っても鯛』と頑張った。
子どもだった私をどこか食べ物屋さんに連れていく。
結構混んでいる。
母は必ず言う。
『早く食べろ』
『でもガツガツ食うな』
なんでそんなことを言うのか尋ねたら、あなたは商売人の子なのだから世間に偉そうにしてはいけないという。
意味不明だったが、今この年になって母親の実に自己中心的な子育ては大成功だったのではないかと自画自賛している。
辛抱、謙虚、礼節、作法、協調、勤勉…色んな日本人の特性が消失している。
間違いなくあと数世代したら私の知らない日本になっている。
その時にガイジンに牛耳られていないことを祈る。