何も足さない、何も引かない...
この言葉は昔サントリーのウイスキーの宣伝に使われていたキャッチコピーである。西村佳也さんというコピーライターの作だ。名言である。
名作だとは言え、お酒の宣伝文句を子育てに使うのか!とのそしりを受けそうだが…私は子育てもこうあるべきだと思うのだ。
だって、良い出会い、良い経験を早くさせとおかないと!と、世のお母ちゃんは心配なのだ。
いやいや、能ある鷹は爪を隠します。本当に才があるならいつか必ず然るべき出会いをして、大成するのです。
誰かが無理に出合わせてもだめなんです。
かの有名な世界の王。王貞治元監督です。
彼は中学生の頃、近所の公園で野球をしていました。
そこに荒川“選手”が通りかかり、その大柄な少年が目に止まります。
左利きなのに右打席で打っていたのです。
“左で打ってご覧”と荒川が言います。
王少年は人生初の左打席でいきなり特大の当たりを打ったというのです。
何もかもがこう上手く行くとは限りません。
でも、今のプロ野球が私にはあまり面白くないのは、こういう選手が出て来ないからです。リトルリーグから注目され、有名校にスカウトされ、甲子園に出て、日本のプロ野球に入って、MLBに行き、故障して帰ってくる(笑)
王さんの時代にもしリトルがあったら、世界の王は誕生していなかったかもしれません。
人が成長するのに最も大事なのは“キーパーソンとの出会い”なのです。功成り名遂げた人には必ずこれがあります。
誰かに出会わせられたのではなく、出会うのです。ごく自然に。