商品価値
世間で言う“大手塾”という呼び方が怪しくなっている。
通常この言葉は業界内でトップクラスという意味である。
これをいつの間にか塾にも当てはめてこう呼ぶようになった。
私が三十路過ぎの頃から、某塾はトップを走り続けていた。
内部分裂をして別の某塾ができた時、相当の打撃を受けたはずが潰れなかった。
その後様々な変化があり、今この塾は元の姿ではない。
オーナーが変わったのである。分裂した方も様変わりしている。
ところで、イシダ塾を立ち上げてこの塾の塾生の勉強を見る機会が増えた。
そしていくつかの点で驚いている。
講義の内容が希薄に感じられる。
そして学習の管理が十分にできていないようだ、
この塾のシステムを思い起こせば納得がいく。
勿論、塾だけが悪いのではないだろう。
私が若い頃の子ども達に比べれば、今の子ども達は集団授業の受け方が上手くない。
だから個別塾が必要とされるわけである。
年間カリキュラムに沿った授業。
その“内容定着”を計るためのテストシステム。
多数の塾生によるスケールメリット。
群れから零れ落ちる恐怖と言うのは言い過ぎなのだろうか?
もはや刺激の一等は最後の一点のように思う。
私が居た頃の某塾は授業は商品と言い切った。
バイト先生が多かったが、皆フレッシュで優秀であった。
もしかしたら、システムが何度もコピーを繰り返すうちに鮮明度が落ちてゆくようなことが起こっているのではないか?
何人かの子ども達を見ていてそんなことを感じている。
老舗危うし…。