間違いだらけの中学受験+α

小さい小さい個人塾の塾長ブログです。

分厚い胸板

日本人の人生は18才(個人差はあり)で粗方が決まり、22才(これも個人差があるが…)でほぼ決定されるといっても言い過ぎではなかろうと思う。
もちろん、何らかの理由でストレートにはいかず、寄り道して本来の道にすすむ人生もある。
が、この寄り道が前向きではないと困ったことになる。
ゆえに日本の『学校』は人をレールに乗せて、どんどん社会に輩出していくのが使命となる。

寄り道する人の中にも優秀な人は多いのだが、なんでもかでも“レベルの高さ”を求めるあまり、本来の能力とは関係のない能力まで入試で要求されるケースも多い。例えば、ピアノ弾くのにセンター試験は要らんやろ( ̄▽ ̄)

そんなだから学校も学校外も『早く、速く、大量に…』がモットーとなる。
成長曲線の個人差などまるで無視である。

私はこの仕事をいていて、『いい学校に入ったから人生も成功した』人ばかりではないことを知っている。
いや、むしろ、どん底から這い上がった魅力的な人間を少なからず見ている。

少し前、そういう教え子君が来てくれた。
まだ三十路前だが、以前に会った時よりもさらに落ち着いていた。
それに至った理由は彼の境遇にあった。
彼は決してエリートコースなどに乗っていない。それどころか波乱万丈の学生時代を送ったのだ。
そんな苦労人の彼は、いわゆる『エリート君』にはないある種の迫力があった。
なんだろう、あの落ち着いた振る舞い、どっしりとした存在感。
それでいて威圧してこない…。

私は、学歴以外で初めて教え子に嫉妬を覚えた気がする。
奴はもう大丈夫だ。
体も確かに大きいが、彼の心の胸板の分厚さには惚れ惚れとしたものだ。
良い男になったものだ。