間違いだらけの中学受験+α

小さい小さい個人塾の塾長ブログです。

つづらお荘

私のルーツ、塾運営の基盤と言ってもよいある施設が閉館となっていた。今年三月のことだ。コロナの禍ではない。老朽化した建物を直す資金がなく、閉じたという。 去年あたりから行きたい行きたいと思っていた。クマ塾の合宿で約10年ほど使わせていただいた。去年はもう少しで小規模ながらイシダ塾でも合宿を!というところまで来たのだが、直前でご破算となった。
 中学受験塾でありながら、春・秋と遠足に行き、夏は合宿、年末は6年生追い出し会兼クリスマス会を毎年実施していた。それは塾生達の誇りであった。下手な学校よりも帰属意識が強かったように思う。 そんな彼らのハートはこのつづらお荘で養われたものだ。何にもない。とにかく都会にあるものが何もない。ただ目の前に竹生島が浮かぶ湖面が広がっている。初めて子ども達を連れてこの地に行った時、迎えのバスで私は何度も感嘆の声を上げた。 わくわくする週間であった。
そんなものは受験に関係あるのか!といぶかった保護者も居たようだが、三十路になってまだ私と交信を続ける塾生君達がその答えだと思っている。 寂しいし、とても悔しい。私らですらこんなに悲しいのであるからこの旅館を愛した人たちの胸中は如何ばかりかて推察する。
 
ある年の合宿の帰り。恒例の大掃除をした。勉強部屋として借りた会議室を掃除する。彼らは日常教室を掃除しているので手馴れている。済んだね。全部終わったね。。。。合宿の最終日はとても寂しいのである。 ある子がその研修室の白板にメッセージを書いた。
 つづらお荘の皆様、ありがとうございました。おかげでとてもいい合宿ができました。 ただそれだけのメッセージだ。 
それから年を挟んで別の子が塾でPCを触っていた。クマ、これ!ん?あぁ、つづらお荘のHPだ。スタッフさんのブログだった。そこにその白板メッセージのことが書いてあった。こんな嬉しいことがあるからこの仕事は辞められない、と記されていた。私は我が子を褒められるよりも嬉しかった。
 例えばそんな思い出がごろごろと転がっている。
 本当に寂しいことである。

f:id:kuma-G:20200827153305j:plain