ないものねだり?
戦争に負けた後の日本は、今の我々には想像もつかないほど混乱していました。食べるものがない…! これがどれほどみじめでつらくて怖いことかを今の日本は忘れています。そんな中、屋根のない教室で学校が再開されました。
ここが人間の偉大なところです。
ひもじくても教育を求めるのです。
それから何十年物もの時を経た今、日本は世界でも屈指の豊かな国になりました。
他方で、それとは裏腹にまだ紛争が続いている国々があります。
そういう国の子ども達に、『ほしいものは?』と聞くと、ほぼ全員が同じ答えを言うそうです。
それは…
『学校に行きたい!』ということです。
少し前から、日本では、『学校に行きたくない』子が増えてきました。
そして、このことがさらに進んで、今では『学校に行かなくても大丈夫』あるいは『学校に行かない方が良いのではないか』という考えさえ出てきました。
紛争下の国に生まれた子達にはきっと理解できないと思います。
空から爆弾が降ってこないところで、みんなと一緒に勉強したり、遊んだりしたい!のです。それが学校の一番の役割でした。
かく言う私も少し考えが変わりました。
本当はいろいろな人と関りを持つ中で、学ぶことが多い学校やキャンパスは有益なはずなのですが、今やそれは望めない。
ならば、前向きに、『学校に行かなくても自分を磨ける環境』さえあればそれで代替できる…そう思うようになりました。
学校は否定はしません。
が、今、私らのような立場の人間が、心から『この学校いいですよ!』と勧められる学校がほとんど見当たらないのです。
これは学校だけの責任ではありません。
学校をそんなにしてしまった『外部の力』にも大きな責任があります。
大仰な言い方ですが、これは『教育の退行』です。
こんなにいろいろな専門機関があり、研究がなされているのに、主体である子ども達は健全な状態にないのですから。これは大人の責任ということになります。
気が付いた者勝ち、力を持った者勝ちにはしたくはないのですが、せめて自分の周りにいる子ども達にはできる限りの手立てをしたいと思います。
そんな思いを持っていたところ、イシダ塾の客員講師・谷先生からの提案があって、子育てや教育をもう一度考え直そうという会が発足しました。
怪しげな名ばかりの会ではなく、それぞれの方面で活躍されている素晴らしいメンバーがそろっています。そして何より良いのは、乳幼児から高校生まで連携が取れることです。今まではこれがなかった。
いくら幼児期にいい教育を受けても、そこが終わればそれで止まってしまう…。これでは意義が半減です。
そうならないように、できれば『生まれる前』から教育を全うに考える家庭を増やしていきたいと思うのです。
決してオーバーことではありません。
ジャイアントステップは要らない。
スモールステップで十分なのです。